暗渠の宿 西村 賢太 著

暗渠の宿 (新潮文庫)暗渠の宿
新潮文庫
(2010/01/28)
西村 賢太
★★★☆☆
商品詳細を見る

『暗渠の宿』は、私小説調の芥川賞作家の作品で、西村氏本人と思われる主人公の商売女に金を毟り取られる経験から、情婦と同棲するまでの軌跡を描く。


暗渠の宿

けがれなきへび酒のヘビ

主人公が、風俗嬢から大金を毟り取られる話。

作者の意図するところかもしれないが、この風俗嬢は主人公を騙そうなどとは、初めは思ってなかったのではないかと思う。しかし、「スタイリスト」(言ってしまえば、自尊心が高く臆病者ということ)な主人公は、自分から借金を肩代わりするなどと提案してしまう。お金に困っている人がこんなこと言われれば、この人に払ってもらおうと思ってしまうだろうし、もちろんその風俗嬢は主人公から金を騙し取る。

暗渠の宿

主人公に恋人ができて、暮らしていく話。

底辺を生きる、恋人同士の主従関係ラインのせめぎ合いが描かれている。


『暗渠の宿』について、一見性根の腐った特殊な人間が描かれているように考えるかもしれないが、巷のカップルのほとんどはこれと似たり寄ったりのことしてると思う。
スポンサーリンク
スポンサーリンク