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プレゼントを貰った。それは5千円位のもので役に立つものではあった。しかしもちろん欲しければ自分で買うので、どうしても欲しいものではなかった。私はその時、「ありがとう」と言ったが、贈り主は全然嬉しそうじゃないと言って怒りだした。
そのとき私は、もちろん感謝しているがプレゼントを貰うことで感情が動くことはないと伝え、でもこのプレゼントを役立てようと努力するし、それが生活の一部になり欠かせない物になればその都度感謝の念を抱くことを伝えた。自分はそのような本心を真摯に伝えたのだが、相手はまったく納得しなかった。
私自身としては、自分が贈ったものに相手が喜びを見せなくても、使っていてくれたり役に立っていたりすることが分かれば喜びを感じる。そして逆に、収納を埋めるだけの存在になってしまえば、役に立たない、もしくはセンスのない物を贈ってしまって恥ずかしい気持ちにさえなる。
私のこのような考えは少数派なのだろうか？
以下では、プレゼントを貰った時の人間の心理について、女性が男性から、男性が女性から、という各ケースについて考察する。
女性がプレゼントを貰った場合
まず、女性が男性からプレゼントを貰ったとき、分析的にではあるが喜びを感ずるだろうと予想できる。人類の歴史を振り返ってみると、大部分は男性が稼ぎ（狩りをして）、女性が家を守るような時代だった。この時代においては、贈り物が生活の糧と同等の意味をもち、女性にとって贈り物は生死に関わる重大な問題であっただろう。従って、女性が贈り物を貰った時に喜びを感ずる、という生理学的機能を持つ可能性は大いにあり得る。なぜなら、贈り物を貰った時に幸福感が得られる女性は、喜びを得るために男性がより贈り物をするように仕向けるため、その努力をしない女性に比べてより物を手に入れ、結果的に生存確率が高くなる。
女性の子を産み育てる役割を考えると、このような女性における喜びの機能の存在は、より尤もらしい。女性の妊娠期、および授乳期においては、母子は贈り物のような他の人間からの助けを必要とする。そしてこのような贈り物をより得られる女性は、より子を成長させやすく、次世代を残しやすいだろう。このようなことは、妊娠期間と乳幼児期が長い人間にとっては特に決定的であると考えられる。
もし贈り物を貰った時に喜びが起こるという直接的な生理学的機能がなかったとしても、自身の生存確率を上昇させる出来事として女性が喜びを感ずるという可能性もある。それはなぜなら、近年まで依然続いていた男性が稼いで、女性がそれを基に生活していくという社会では、贈り物を貰うことと生活の糧を得ることが同一の意味をもつからだ。よって、贈り物を貰うことにより女性の生存確率はより高まり、女性はそれに幸福や安心を感じる可能性が考えられる。
しかしこの最後のケースでは、自身で働き十分な財産を持つ女性では、贈り物を貰った時の喜びが少ないことになる。しかしこのような女性にとっても、贈り物を貰うことによって女性自身の価値を確認でき、喜びを感ずることがあるかもしれない。
このように、女性が贈り物を貰ったとき、喜びや幸福感が生理学的現象として起こりそうである。
男性がプレゼントを貰った場合
一方、男性が女性からプレゼントを貰う場合には、どうか。男性が女性から物を贈られて喜びそうなケースは、それが繁殖に結びつくようなメッセージを含んでいる場合が考えられる。それは、恋愛の初期段階において女性が「あなたを選びましたよ」というメッセージなどを含む場合である。
実際、恋愛へと発展する前段階のプレゼントで喜びを感じる男性はたくさん見てきたが、長い付き合いのある恋人から、若しくは妻からプレゼントを貰って喜びを顕にした男性を私は知らない。
しかしもちろん、女性の場合にだけ子孫を残しやすい生理的機能で男性にとっては不必要でも、人間に共通に受け継がれている可能性はある。
そして、男性が女性と逆の立場、つまり女性が働き手である場合もまた、贈り物を貰った男性の生存確率を上げる出来事として、男性に喜びを起こす可能性はある。
というように様々な可能性は考えられるが、女性が男性から贈り物を貰うケースに比べ、女性からの贈り物に対する男性の反応というのは、状況やそのメッセージに依存し、常に喜びへ結びつく女性のようなものではないと考えられる。
そしてこの男女の違いが、私のケースのすれ違いに繋がったのではなかろうか。
好意の返報性
心理学の知見による「好意の返報性」にも、私自身のケースは当てはまらない。「好意の返報性」とは、贈り物の価値に対してそれに等価値なモノを返さねばならないと思う心理であって、あまり親密でない人に高価な物を貰った時に困ったなと思うのは、それを埋め合わせなくてはならないと感じることに起因する。【ウィキペディア：返報性の原理】しかし私のケースでは、それほど高価な物でもなかったし、5千円の物を貰って驚くような関係でもなかった。
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