発行残高が伸び続けている日本国債のリスクについて、その利払い費という観点から考察した記事のまとめ。【日経朝刊(2012/5/23)】
ここ十年位で国債の発行残高は約3倍に増加。しかし、利払い費はほぼ横ばい。これは、「借換え金利ボーナス」に拠っている。
そして、この「ボーナス」が発生する要因は3つある。1つ目には、金利の低下で、長期金利は市場金利の低下で低くなり、短期金利は日銀の誘導によって低下している。2つ目には、日銀による低金利の短期国債の増発がある。そして3つ目には、発行する国債の金利が固定されていることが挙げられる。
これらにより、高金利だった国債を償還しその償還金をまた国債発行で補うとき、金利が低金利に置き換えられるため、利払い費が抑制される。
しかし、高金利時代の国債は償還が進み、低金利国債の割合が増加しつつあるため、「借換え金利ボーナス」は期待出来なくなる。
私見として、日銀は戦略的に「借換え金利ボーナス」を発生させたように見える。それは、日銀による低短期金利への誘導と低金利の短期国債の増発から推測される。
これ自体は、とてもうまいやり方だとは思う。しかしこれによって、政治の危機感が薄れ、国債がここまで膨れ上がったようにも思える。
そして、「借換え金利ボーナス」がなくなりつつあるこれからは、日本の財政はまあ大変らしい。