なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか 日高 義樹 著

なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのかなぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか
(2012/07/10)
日高 義樹
★★★☆☆
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なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか」、それは「人体実験」のためである。日米関係の論客であり、アメリカ歴代大統領や軍に広く人脈を持つ著者による、原爆投下の経緯とそれから導かれる結論を記した書籍。

なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか」という問題について、ジャーナリストでありハドソン研究所(ワシントンD.C.)首席研究員、ハーバード大学大学院・タウブマンセンター諮問委員である著者が、独自の人脈や調査を基にした1つのシナリオを示す。その中で、ルーズベルトにより始められ、トルーマンにより決断された原爆投下が、陸軍や海軍、科学者の間のパワーバランスの中でいかに進行し決定されたのか記され、表題への答えとして「人体実験」であったと結論付けている。さらには、日本が国家としての体を成せる憲法の構築や、独自の抑止力をもつことなど、今後のあるべき姿について議論している。



この著者の、アメリカによる原爆投下は「人体実験」を目的にしていたという結論は、ウィキペディアの中では一説として扱われている。しかし、ウィキペディアの「原子爆弾投下都市の選定経緯」において、アメリカ軍の中で反対者が多数いたにも関わらず、京都は「京都盆地に位置しているので原子爆弾の効果を確認するには最適」として、たびたび候補地として浮上したのを見ると「人体実験」というのもうなづける結論ではある。【ウィキペディア:日本への原子爆弾投下

また、著者の調査では実際に、原爆投下に対する軍事的効果の記述がなく、むしろ兵器としての効果や人体への影響などの資料がほとんどらしい。

もちろんこれらの意見は、アメリカ政府の公式見解「日本本土での直接戦(本土決戦)を避け、早期に決着させるために原子爆弾が使用された」と大きく異なる。著者は、どんなことがあってもアメリカは見解を変えないだろうと言い、それは当然そうだろうと私も思う。しかし問題なのは日本の公式見解がないことだというのは、誰もが考えることだと思う。
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