血液型の科学 藤田紘一郎 著

血液型の科学 (祥伝社新書)血液型の科学
祥伝社新書
(2010/01/30)
藤田紘一郎
★☆☆☆☆
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免疫学者による血液型の話。血液型が免疫という機能の一面を担い、人類と病原菌との戦いに一定の役割を果たしてきたという話は面白い。しかし、本書で展開される血液型による性格の分類は根拠薄弱で、想像の域を出ない眉唾な話ばかり。そもそも人の性格て何?

「血液型によって性格が決まるようなことがあってもよい」と豪語する、免疫学者による血液型の話。著者は第一章を「血液型による性格診断は「エセ科学」か」と題して、これを支持する議論を展開する。しかし、話は根拠薄弱で想像の域を出ないものばかり。ただ、血液型により病気への罹患率や致死率に有意な差があり、病原菌との戦いの中で人類の血液型の構成がいかに変化してきたかという話は面白い。



本書では、血液型による病気への罹患率の違いから
A型 :慎重で用心深い、几帳面で神経質
B型 :オタク気味になりやすい、枠にとらわれない奔放な性格
O型 :フロンティアスピリットにあふれる、自己主張が強い
AB型:疑い深い、内向的
などの分類を展開しますが、そもそも性格って何?という感じです。

ある人の性格は子供のときも大人になっても変わり続けるし、表面的な性格と頭で思っていることが全然違うことはよくあることです。また、状況により、相手により対応の仕方は変わるので一人の人間の性格を決めることなんて不可能じゃないかと思います。また、この著者の分類もありきたりで系統的でもなければセンスもないものです。

ただ、私たちが生きるうえで、出会う人がどのような性格を持っているのかを把握して、相手にあった対応をどのように取っていくかは重要なことです。そのために、自身で考え、自分なりの分類方法(もちろん分類するときは血液型などではなく、自身の観察によってするのです)を作っていくのが人として生きるために大切なことだと思います。
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