ビアンカ・オーバースタディ 筒井 康隆 著

ビアンカ・オーバースタディ (星海社FICTIONS)ビアンカ・オーバースタディ
星海社FICTIONS
(2012/08/17)
筒井 康隆
いとうのいぢ (イラスト)
★★☆☆☆
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学園で「いちばん美しい、いちばん綺麗な女の子」ビアンカ北町、彼女は生物研究部に所属し怪しげな研究に一人没頭する。研究のためなら手段を選ばない彼女は、男子生徒の体液を採取するほど。そこへ、未来人が現れてその研究はますますエスカレートし、ビアンカはキメラ作りに夢中になってしまう。さらには、滅亡寸前の未来の人類を救うために彼女はテレポーテーションして・・・

という感じのハチャメチャな学園物エロSF小説です。前半は、学園物エロ小説といった風情ですが、だんだんSFチック(悪趣味な)な要素が加わっていって、最後には未来での大戦争です。まあしかし展開は早い(無理やり展開させている感もある)ので飽きることは無いと思います。

しかし本作の著者は、江戸川乱歩にも認められたほどの大作家:筒井康隆の著作で、本の帯には
文学界の巨人・筒井康隆の最新作は本気のライトノベル!文学史上の一大事件を読撃せよ。
とありました。

まあ確かに、学園物だし美少女もたくさん出てきますが、筒井康隆のあの悪趣味で粘っこい表現は健在です。正直、この萌え心くすぐる挿絵がなければ、読者の頭の中はいつもの筒井康隆ワールドで、ライトノベルのラの字も出てこないんじゃないだろうかと思いました。

:ライトノベルとは、青少年・中高生を読者層に想定して執筆された小説で、マンガ・アニメ調のイラストレーション、挿絵を多用し、キャラクターを中心として作られている。【ウィキペディア:ライトノベル


また、その目次は可愛い女性のイラストをバックにしているのですが、章題がすべて「・・・・スペルマ」であるという変態的かつ悪趣味な作りになっています。

それから本作は、著者あとがきにあるように「メタラノベ」という体裁も取っています。それは、ライトノベル読者の存在をSFの世界構築に組み入れたものですが、著者はこれを思いついたがゆえに書きたくてしょうがなかったみたいです。

最後に、本作の悪趣味な部分を過剰にしたSFをお探しでしたら、変態エロSF小説『ポルノ惑星のサルモネラ人間』をお勧めします。

ポルノ惑星のサルモネラ人間―自選グロテスク傑作集 (新潮文庫)

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