怪談実話系ベスト・セレクション 京極 夏彦 他 著

怪談実話系ベスト・セレクション (文庫ダ・ヴィンチ)怪談実話系ベスト・セレクション
文庫ダ・ヴィンチ
(2012/06/22)
東 雅夫編
★★☆☆☆
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怪談実話と銘打っているものの、そうと思って買うとがっかりするかも。どちらかというと、スタイルの大きく異なる作家を集めて、怪談・奇妙な話・現実的だがぞっとする体験などを雑多に載せている印象。まあしかし、京極、平山両氏は何書かせても高品質だし、大御所が揃っているのは確か。


成人 京極夏彦

★★★★☆
京極先生は、こういう想像力をかきたたせ、嫌悪感を呼び起こす話を書かせると絶品。自分の中では『厭な小説』の『厭な子供』とならぶ傑作。ミステリー風の味付けも少々あり。

厭な小説
祥伝社文庫
(2012/09/01)
京極夏彦
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これは怪談ではない 牧野修

★★☆☆☆
幾つかの「怪談」からなる本作は、たった1ページしかない2つ目の話が佳作。残りの話は、オチが容易に想像できる上それほど恐ろしい情景を掻き立てない。しかし2つ目の話は、想像すればするほどゾッとする。

嘘談 松村進吉

★★☆☆☆
うーん、怪談というよりも怪談作家達の人間ドラマっていう印象。でも、恐怖に慄きながら自動車を走らせる主人公の心の動きに★2つ。

数珠の糸 福沢徹三

★★★☆☆
自分、この作家結構好き。後に尾を引く、無難な怖さ。

浅草純喫茶 加門七海

★★☆☆☆
怪談というより、ファンタジー。ほのぼのとした話で、自分にはよくわからなかったけど、浅草に詳しい人ならグットくるかも。

お茶屋怪談扉 森山東

★★☆☆☆
お茶屋で怪談を聞くという設定で、艶やかに話が進む。舞妓さんが5つの体験談を語り、またその聞いている状況も怪談になっているという昔ながらのメタ怪談。

顔なし地蔵 安曇潤平

★★★☆☆
世にも奇妙な物語風の展開。なかなか怖いが、驚くような展開はなし。

お化くず 平山夢明

★★★★☆
2ページほどの7つの短い怪談。『窓』、『忘れ忘れ』、『目隅さん』、『ドライブ』、『うずくまり』、『夢』、『きんつば』。それぞれが、最低限の分量でまとまりオチも申し分ない。

美しく爛れた王子様と麗しく膿んだお姫様 岩井志麻子

★★★☆☆
怪談ではないが、著者のあるおぞましいファンの話。物語は狂気と気色悪さが前面に出された筆致で綴られる。

霊感DNA 工藤美代子

★☆☆☆☆
表題通りの、不思議な力を持った著者の姪の話。怖くも面白くもない。

怪談が実話であるということへ 牧野修

★★☆☆☆
怪談ではなく、怪談を怪談たらしめる人間心理や文壇における怪談の位置付けなどを書いたエッセイ。
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