スパコンが一番でなくてはならない理由

スーパーコンピュータの画像

国産スーパーコンピュータ「京」が、世界ランキングで2位に転落した。今後も新たな機種を開発し世界一を目指すかどうかという問題に対し、日経新聞による調査では

67% 「目指すべきだ」+「どちらかと言えば目指すべきだ」
13% 「目指すべきでない」+「どちらかと言えば目指すべきでない」

という結果が出ている。【日経新聞2012年7月8日朝刊より】

本記事では、世界一を目指す理由や、より安価なグリッドコンピューティングスパコンの比較を通して、開発し続ける意義を説明する。



最初に、スパコン関係者はなぜ「科学や技術の世界では、ナンバーワンでなければ意味が無い」と言えなかったのかと思う。当たり前の話だが、科学や技術の世界では一番最初に発表した成果だけが認められる。2番手では意味が無く、何もしていないのと同じになる。よって、一番の計算機で今まで出来なかったことをすれば、それは成果に繋がる。

また、グリッドコンピューティングという費用対効果が高く、大規模な計算処理や大量のデータを保存・利用するための手段が存在するが、これはスパコンの代替物とはならない。この技術は、以下のように説明される。
インターネットなどの広域のネットワーク上にある計算資源(CPUなどの計算能力や、ハードディスクなどの情報格納領域)を結びつけ、ひとつの複合したコンピュータシステムとしてサービスを提供する仕組みである【ウィキペディア:グリッド・コンピューティング
しかしグリッドコンピューティングでは、ネットワーク上の計算資源間のデータ受け渡しがボトルネックになる。そして、このデータ受け渡しは、データ要素の間の「相互作用」を計算するために行われるので、世界に存在する様々な現象を理解・予想するためにはデータ受け渡しをいかに速くするかが肝である。実際、「京」のCPU性能は汎用品と比べ極端に高いわけではなく【ウィキペディア:京 (スーパーコンピュータ)】、その性能を実現しているテクノロジーの多くは、CPU間やノード間のデータ通信にある【ITpro:スパコン世界一「京」の全貌】。

このような高い技術は、アメリカ・日本・フランスぐらいにしかなく、日本がこれを維持し続けることは世界の要素技術を分散することにも繋がる。実際ドイツなどは、スパコンのアメリカ一極支配を嫌い、NEC製品も利用している。

以上のように、スパコン技術の維持は日本にとって重要であり、政府の資金投入は不可欠である。しかし、資金を投入するだけではなく、資金運用の管理の徹底はなすべきことではあると思う。
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